川越市の中心部に、静かに、しかし確かな熱量を持つ創造の拠点がある。
それが、インキュベーション施設「コエトコ」に入居している Cap合同会社だ。
代表の東條さんが提供しているのは、単なる“プログラミング教室”ではない。
子どもたちの頭の中にある“物語”を、ゲームという形で表現していく
「ものがたりゲームワークショップ」である。
プログラミングが主役ではない。
ゲーム制作の本質を「物語を動かす体験」だと捉え、
子どもたち一人ひとりが持つ創造性を引き出すことを目的にしている。
本記事では、Cap合同会社が取り組む創造教育のあり方と、
そこから生まれる価値、そして未来への展望について紹介する。
Contents
■ 創業の原点は「子どもの頃の創作体験」
登場さんは、長らくサラリーマンとして働いた後、フリーランスへ転身した。
そのタイミングでふと蘇ってきたのが、子どもの頃に夢中になって描いていた絵や漫画だったという。
「仕事として絵描きを目指していたわけではありません。でも、創作をしている時間はとてもワクワクした。大人になってから改めてゲーム制作を始めてみたら、あの頃の感覚が戻ってきたんです。」
この体験が創業の原動力となった。
創作に触れることで人生は豊かになる――。
東條さんは、この確信をもとにCap合同会社を立ち上げた。
■ プログラミングは手段。主役は「物語」と「表現力」
多くの人が「ゲームを作る=プログラミングを学ぶこと」と考えがちだ。
しかしCap合同会社のワークショップでは、その捉え方を大きく変える。
「ゲーム制作の本質は、自分の頭の中にある世界を“動かす”こと。
だからプログラミングを必ずしも重視しない。必要なら使えばいいし、興味がなくても大丈夫です。」
ワークショップは“物語ゲーム”というスタイルを採用している。
ストーリーを考え、キャラクターを描き、セリフを書き、
それをゲームという形で表現していく。
絵を描くのが好きな子、本が好きな子、漫画が好きな子。
彼らの「好き」をそのまま活かせる場になっている。
■初めての子も「自分の世界を動かす体験」に没頭
ワークショップで使用しているツールは、誰でもダウンロード可能な一般的なソフト。
だが、子どもたちの反応は驚くほど純粋で、力強い。
初めて触るツールでも、30分も経てば
「キャラが動いた!」「喋らせてみたい!」と次々に発想が広がっていく。
特に印象的だったのは「恐竜時代にタイムスリップするゲーム」を作ったある子どもの作品だ。
・草食恐竜と出会い、仲間にできる
・ティラノサウルスが現れ、逃げる方向を選択
・選んだ行動によって“仲間が食べられてしまう”展開も
一見シリアスに見える展開だが、子どもにとっては「リアル」を追求した結果だったという。
「子どもだから簡単な物語しか作れないわけではない。
自分の世界観に忠実に、豊かな作品を作ってくれるんです。」
東條さんはそう語る。
■ 大人×子どもが共に学び合う“ゲームイベント”が誕生
Cap合同会社は、ただワークショップを行うだけではない。
同じ施設に入居するゲーム会社3社と共同で、今年「ゲームイベント」を開催した。
大人のインディーゲーム開発者たちが作品を出展する中、
子どもたちの作品も並べて展示された。
すると、面白い現象が起きた。
「大人の開発者が、子どもたちの作品を本気で褒めるんです。
『この発想すごいね』『ここまで作れるのはすごい』と。」
大人・子どもという境界線がなくなり、
同じ“クリエイター同士”としての交流が生まれた。
これは、他の教室や習い事では実現しづらい価値だ。
■ 世代を超えて広がる“創造性”。
登場さんは、今後の展望をこう語る。
「小学生だけでなく、中高生や大人にも作品制作の場を提供したい。
人生経験がある大人こそ、物語にできるテーマをたくさん持っているはずです。」
例えば、祖父母が自分の半生を物語ゲームとして制作し、
孫がプレイして驚く――そんな未来も不可能ではない。
また、ゲームは世界中に配信できるメディアだ。
登場さん自身が制作したゲームも、日本より海外プレイヤーの割合が高かったという。
子どもたちが将来、チームを組んで海外へ作品を届ける未来も十分にあり得る。
■ 2026年4月25日、ゲームイベント開催へ

次回の大型ゲームイベントは 2026年4月25日 に開催決定。
このイベントに向けた制作ワークショップが、来年2〜3月に全6〜8回で開催される。
・忙しくても3〜4回参加すれば作品は完成できる
・11〜翌1月には体験会も実施
・対象は小学3〜6年生が中心、経験があれば小1〜中学生以上も参加可
創作に興味がある子にとって、
自分の作品を“誰かに見てもらう”という貴重な体験が得られる場だ。
🔻詳細・お問合せはこちらから
https://createandproject.studio.site/ws_novelgame-2
■ 創造性は特別な才能ではない。
ゲーム制作は、一部の特別な人だけのものではない。
絵が好き、本が好き、物語を考えるのが好き――
そんな“好き”があれば誰でも始められる。
Cap合同会社が作るのは、
子どもの創造力を大切にし、一人ひとりの物語を尊重する場だ。
その一歩が、将来のクリエイターを育てるかもしれない。
あるいは、その子の日常を豊かにする一生の財産になるかもしれない。
創造性が育つ瞬間を、ぜひ川越で体験してほしい。



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