川越の街を歩いていると、観光地としての賑わいとは別に、ふと立ち止まりたくなる静かな路地に出会うことがあります。その奥に、時を積み重ねた建物が佇んでいる──そんな風景が、この街の魅力のひとつです。
今回ご紹介するのは、川越の中心地にひっそりと佇む、一棟貸切の蔵宿 「Tokinoma KAWAGOE」。
“街に溶け込み、自分に浸る”というコンセプトを掲げ、旅の目的そのものが変わるほどの体験を与えてくれる特別な宿です。
本記事では、立ち上げスタッフである 平山舞さんの言葉をもとに、時の間の魅力をくわしく紹介していきます。
Contents
■ 細道の先に現れる、秘密の入り口
時の間があるのは、川越の中心部。
人気レストラン「SAIWAICHO ROMAN」のすぐそば、細い路地を進んだ先にあります。観光客が多く行き交うエリアからわずか数十メートルの距離にもかかわらず、驚くほど静かで落ち着いた雰囲気が漂う場所です。
「初めて来る方は少し迷うかもしれません。でも、その”秘密感”こそが時の間の魅力なんです」と平山さんは語ります。
路地の奥で周囲に溶け込むように佇む入り口は、まさに“知る人ぞ知る隠れ家”。
扉を開けると、外の喧騒とは別世界の静けさが迎えてくれます。
■ 一棟貸切の蔵宿。100年以上の歴史を感じる空間
時の間は、もともと川越の歴史を支えてきた旧家の蔵を改装した宿です。
オーナーである安齋家は、戦国時代から続く由緒ある家系。かつて蔵は家の一部として使われており、今もその名残を感じることができます。
“残せる部分はできるだけ残す”──
これがTokinoma KAWAGOEが大切にしている姿勢です。
蔵に使われていた太い梁、当時のままの扉、手作りのゆらぎガラス。
それらは単なる“古さ”ではなく、空間に独特の表情と温度をもっています。
現代的な宿泊施設には決して出せない味わいが、この蔵には確かに宿っています。
■ “自分に浸る時間”を提供する場所として
Tokinoma KAWAGOEのコンセプトは、
「街に溶け込み、自分に浸る」
旅先ではつい、観光スポットを効率的に回ろうとして慌ただしくなってしまうもの。しかし時の間は、あえて「立ち止まる時間」を提供してくれます。
蔵の中は時間がゆっくりと流れ、柔らかな光が差し込み、落ち着いた静けさに包まれています。
その空間に身を置くだけで、少しずつ自分のペースを取り戻していく感覚があります。
「観光もいいけれど、今日は疲れたし宿でゆっくり過ごしたい」
そんなときにこそ、この蔵の魅力が強く感じられるでしょう。
■ ローカルの魅力を散りばめた“川越アメニティ”
Tokinoma KAWAGOEの魅力は、建物の美しさだけではありません。
特に印象的なのが、川越の文化を随所に組み込んだアメニティの数々。
平山さんたちスタッフは「川越をもっと好きになってほしい」という思いから、地元ならではの体験を宿の中に散りばめています。
● 手描きのオリジナルマップ
観光ガイドには載らない、地元の人だけが知っている個人店を中心に紹介。
コーヒー店、雑貨店、老舗の和菓子屋、夜のはしご酒スポットなどが厳選されています。
マップにはQRコードがあり、読み込むとGoogleマップにリスト表示されるため、旅人にも使いやすい仕様。
● 川越唐桟の巾着袋
昔から川越で織られてきた伝統織物を使った巾着。旅の思い出として持ち帰る人も多いそうです。
● 個人店のコーヒードリップパック
川越は個人経営のコーヒー店が多い街。
“チェーンでは味わえない個性”を楽しんでもらいたいという思いから、地元店のドリップパックをセットに。
● 老舗のノート
旅の記録、自分の気持ち、出会いを書き留めるためのノート。
宿で自分と向き合う時間に寄り添うアイテムです。
■ 滞在を深めるオリジナルブックレット
時の間では、宿泊者向けにオリジナルのブックレットも作成しています。
内容は実に多彩で、
・宿での過ごし方
・川越の“ローカルな楽しみ方”
・はしご酒のモデルコース
・コーヒー屋めぐり
・川越の歴史解説
・体験アクティビティ(箸づくり、着物、人力車など)
など、単なるガイドではなく 「川越に浸るための提案書」 のような仕上がり。
このブックレットを片手に街を歩くだけで、川越の新しい表情が見えてきます。
■ “日帰りでは味わえない小江戸川越”がここにある
川越は日帰りで訪れる観光客が非常に多い町です。
しかし平山さんは言います。
「本当は、泊まってこそ川越の良さが深まるんです。」
観光地が静まり、店の灯りがぽつりと光り始める夕刻。
散策を終えて蔵に戻り、静けさの中で自分に戻る夜。
翌朝、宿の小窓から入る柔らかい光。
そのすべてが、日帰りでは味わえない景色です。
Tokinoma KAWAGOEは、そんな川越の魅力を最大限に引き出す“媒介役”のような存在と言えるでしょう。
■ Tokinoma KAWAGOEは、あなたにとっての“秘密基地”になる
観光客の視線から少し外れた場所にある時の間は、まるで川越の中に自分だけの拠点ができたような感覚を与えてくれます。
自分だけが知っている場所。
静かに心が整っていく宿。
街とつながりながら、自分と向き合える時間。
忙しい日常から少し距離を置きたい人、旅の本質をゆっくり味わいたい人、川越を深く知りたい人──
そんな方々に、時の間はそっと寄り添ってくれるはずです。
■ 終わりに:川越をより深く知るために“泊まる”という選択を
川越の街は、表面的な華やかさだけでなく、静寂や文化、地元の人々の営みといった“深い魅力”を持っています。
時の間は、その深さに触れるための扉です。
もしあなたが川越を訪れるなら、ぜひ一晩、この蔵で過ごしてみてください。
きっと旅の記憶は、より豊かで、より温かいものになるでしょう。



この記事へのコメントはありません。